不妊治療におけるbtとは何か徹底解説!体外受精やETとの違いと成功する治療法の選び方

著者:森ノ宮アクア鍼灸治療院

不妊治療の過程で「BT」と言われても、はっきりと意味を理解していない方は意外と多いのではないでしょうか。体外受精やETとの違い、BTの判定日や着床のタイミング、そしてフライング検査の可否など、情報が断片的で分かりづらく、治療を受ける本人が不安を抱えるのも無理はありません。


特に胚移植、胚盤胞、受精卵、排卵といった専門用語が並ぶなかで、「自分の状態に合っている治療方法なのか」「妊娠成功率はどのくらいなのか」といった疑問を持つ方も多いでしょう。また、BTがどの月経周期に行われるべきか、ホルモンの刺激や培養の工程を経た上で何が異なるのかなど、正しい情報が必要です。


この記事では、実際に医療機関で行われているBT、ET、凍結胚、顕微授精、胚盤胞移植などのプロセスを、医師監修のデータをもとに解説しています。専門用語をなるべくかみ砕いて説明しながら、成功率、移植後の過ごし方、子宮内膜の状態など、妊娠の可能性を高めるための判断基準を丁寧に紹介していきます。


今この記事を読むことで、「BT治療が自分に向いているのか」「どの段階で何に注意すべきか」といった不安がクリアになり、治療に前向きに取り組む一歩となるはずです。損失回避の観点からも、情報不足のまま進めるより、確かな知識で治療と向き合いましょう。


不妊治療専門の鍼灸サポート – 森ノ宮アクア鍼灸治療院

森ノ宮アクア鍼灸治療院は、鍼灸を通じた不妊治療を提供し、妊娠を望む方々を支援しています。独自のアプローチで体質改善とホルモンバランスの調整を目指し、特に自然妊娠をサポートする施術を行っています。患者一人ひとりの体調に応じた丁寧なカウンセリングと施術計画を通じ、リラックスした環境で治療を受けられるのが特徴です。

森ノ宮アクア鍼灸治療院
森ノ宮アクア鍼灸治療院
住所〒540-0003大阪府大阪市中央区森ノ宮中央1丁目16番地23 森ノ宮エルエムヒルズ6階
電話06-6809-4388

24時間Web予約

不妊治療におけるBT(胚盤胞移植)とは?その意味と役割をわかりやすく解説

BT(Blastocyst Transfer)の基本!ETとの違いや適応状況

BTとは、体外受精で得られた受精卵を5〜6日間培養し、胚盤胞まで育ててから子宮内に戻す「胚盤胞移植」を指します。これに対し、ET(初期胚移植)は受精から2〜3日後の分割胚を移植する方法です。


BTは、胚の発育段階が進んでいるため、より着床に近い状態で移植できる点が特徴です。これにより妊娠率が高くなる傾向があり、特に年齢が高めの方や過去にETでうまくいかなかった方に選ばれるケースが増えています。


以下にETとBTの主な違いをまとめました。


比較項目ET(初期胚移植)BT(胚盤胞移植)
胚の発育段階受精から2〜3日後(分割胚)受精から5〜6日後(胚盤胞)
妊娠率の傾向やや低め高め
胚の選別精度低め高め
胚の淘汰リスク少ない高い
費用と手間少ないやや多い


BTはより高い妊娠成功率を目指せる反面、すべての受精卵が胚盤胞まで育つとは限らないというデメリットもあります。胚の培養に時間と手間がかかるため、精神的・経済的な負担が増える可能性も考慮しなければなりません。


BTが適しているのは、以下のような方々です。


  • 35歳以上で妊娠率の向上を望む方
  • 過去に複数回ETで妊娠に至らなかった方
  • 良好胚盤胞が得られやすいと判断された方
  • 着床前診断(PGT-A)を希望される方


このように、BTとETには明確な違いがあり、患者様一人ひとりの状態に合わせて選択することが重要です。医師とのカウンセリングを通じて、自分に最適な移植方法を選びましょう。


BT移植の流れと数え方!BT何日目?凍結胚の周期もカバー

BTでは「BT何日目」といった表現が多く用いられますが、その日数の数え方には注意が必要です。一般的に、胚移植を行った日を「BT0日目」とし、翌日からBT1日目、BT2日目とカウントしていきます。


この日数のカウント方法は、自然周期・ホルモン補充周期・凍結胚移植のいずれにも共通しています。ただし、それぞれの治療スケジュールにおける違いは理解しておく必要があります。


周期の種類特徴BT日の設定
自然周期排卵日を基準に移植排卵日+5日目にBT
ホルモン補充周期内服薬で内膜を整えるプロゲステロン投与5日目にBT
凍結胚移植胚を凍結保存後に融解して移植融解後に胚盤胞を戻す


凍結胚移植の場合は、胚の凍結日や融解日、さらにホルモン補充の有無などによってBTのタイミングが異なるため、カレンダー管理が非常に重要です。


患者様が混乱しやすいのは、以下のような点です。


  • BTの「0日目」は移植日なのか翌日なのか
  • 判定日はBT何日目に設定されるのか
  • フライング検査はいつから可能なのか


フライング検査を希望される方も多いため、以下のような目安を参考にしてください。


BT何日目判定の信頼度
BT3〜4日目判定には早すぎる
BT5〜6日目着床が始まる可能性あり
BT7〜8日目陽性反応が出ることもある
BT9〜10日目フライング検査可能な時期


ただし、医師から案内された判定日を守ることが最も確実です。フライング検査はあくまで目安であり、早すぎる検査は陰性が出ることも多く、精神的負担の原因になりかねません。


また、スケジュール管理や判定日までの過ごし方は治療の成功に直結する重要な要素です。不明点は遠慮なくクリニックへ相談することをおすすめします。


BT後の判定日までに起こる変化と注意点(日数別カレンダー)

BT後の判定日までの期間は、最も不安が募る時期です。症状があってもなくても、妊娠の可能性があるのか、体調の変化は正常なのかと不安になる方も多いことでしょう。


以下に、BT後に見られる一般的な変化を日数ごとにまとめました。


BT日数体調の目安・変化
BT0日目胚移植直後。腹部の違和感や軽い出血がある場合も
BT1〜2日目明確な症状はほとんどなし
BT3〜4日目軽い下腹部痛・子宮の違和感が出ることも
BT5〜6日目着床が始まる時期。微量出血が見られる人も
BT7〜8日目着床完了が近づく。乳房の張り・体温上昇など
BT9〜10日目ホルモン分泌が増え、妊娠症状が強まる場合も


ただし、これらの症状は個人差が大きく、症状がまったくないからといって妊娠していないというわけではありません。逆に症状があっても、ホルモン補充などの影響である可能性もあるため、過度に敏感になりすぎないようにしましょう。


注意していただきたいのは以下の行動です。


  • 激しい運動
  • 長時間の入浴
  • 身体の冷え
  • 不規則な生活や睡眠不足
  • ストレスの蓄積


これらは着床の妨げになる可能性があるため、可能な限り避けて、普段通りの穏やかな生活を心がけてください。


また、体調変化以外に気を付けたいのが「過剰な検索」です。ネットの情報に振り回されすぎると、かえって精神的に不安定になってしまうこともあります。正確な情報は、信頼できる医療機関から得るようにしましょう。


BT後の数日間は、治療の成功を左右する大切な時期です。身体のサインに耳を傾けながらも、冷静に過ごすことが最も大切です。クリニックの指示を守りつつ、安心して判定日を迎えていただきたいと思います。


BT後の体調とフライング検査!いつから反応が出るのか?

妊娠兆候はいつ出る?BT後の体のサインとその見分け方

BT(胚盤胞移植)を受けた後、妊娠兆候がいつ現れるのかは多くの方が気になるポイントです。特に、着床のタイミングやその後の体調の変化は、妊娠の有無を早期に知りたい方にとって大きな関心事となります。


まず、BTとは受精卵を胚盤胞まで培養した後、子宮に移植する体外受精の方法です。胚盤胞はすでに細胞分裂が進んでおり、子宮内膜への着床能力が高い段階にあるため、BT後の着床時期は比較的早くなります。通常、BT後2日〜3日目に着床が始まり、BT5日〜6日目あたりからホルモン分泌が活性化するとされています。


この時期に見られる体のサインは、次のようなものがあります。


  1. 高温期の持続
  2. 下腹部のチクチクした痛みや違和感
  3. 異常な眠気や疲労感
  4. 乳房の張りや違和感
  5. 軽度の出血(着床出血の可能性)


これらはあくまで目安であり、症状があるからといって必ず妊娠しているわけではありません。逆に、まったく症状がないまま着床・妊娠しているケースも多数あります。


とくに高温期の持続は、黄体ホルモン(プロゲステロン)の分泌による影響であり、BT後10日以上続くようであれば、妊娠の可能性が高まります。ただし、ホルモン補充周期では外部からプロゲステロンが投与されているため、自然周期よりも高温期の見極めが難しい側面があります。


以下に、BT後に見られる主な体調変化とその目安をまとめました。


BT日数体の変化(代表例)考えられる要因
BT1〜2日目特に症状なし着床準備段階、ホルモン変化前
BT3〜4日目軽い下腹部痛、体温上昇着床開始の可能性
BT5〜6日目微量出血、眠気、乳房の張り着床完了、hCG分泌開始
BT7〜9日目吐き気や倦怠感、高温持続妊娠初期ホルモンの影響
BT10日目以降症状が継続、あるいははっきりとした兆候フライング検査で反応が出る可能性あり


このように、妊娠兆候とされる症状はBT後の数日間で徐々に現れてくることが多いですが、個人差が大きいため、症状の有無に一喜一憂しすぎないことが大切です。


また、凍結胚盤胞移植を受けた場合でも体の反応は自然妊娠や初期胚移植(ET)と大きな違いはありませんが、スケジュールの進行に応じて日数の数え方がずれる可能性があるため、移植日をBT0日とし、BT1日目以降の変化を記録しておくと自己管理に役立ちます。


妊娠兆候を見分ける際には、次のような観点も重要です。


・体温を毎朝同じ時間に測定し、グラフ化する
・基礎体温の上下や波形のパターンを見る
・症状を日別に記録し、急な変化に注意する
・下腹部の違和感と痛みの程度を日々チェックする
・乳房の変化や味覚・嗅覚の変化も注視する


なお、こうした兆候があっても確定的な判断はできませんので、後述するフライング検査や正式な判定日での診断を受けることが推奨されます。


フライング検査の正しいタイミングとおすすめ検査薬比較

BT後の判定日を待つ間、少しでも早く結果を知りたいという気持ちから、多くの方が「フライング検査」に関心を持ちます。フライング検査とは、正式な判定日前に妊娠検査薬を使って妊娠の兆候を確認する方法ですが、注意すべき点も多いため正しい知識が重要です。


一般的に、市販の妊娠検査薬は「尿中hCG(ヒト絨毛性ゴナドトロピン)」の濃度を測定します。胚盤胞移植では、着床が早期に起こるため、BT5日目頃からhCGの分泌が始まり、BT7〜9日目には一部の人で検査薬が反応するケースがあります。ただし、hCGの分泌量には個人差があり、フライング検査が陰性でも妊娠していないとは限りません。


以下に、BT日数ごとのフライング検査の反応性の目安と注意点をまとめました。


BT日数フライング検査反応の可能性説明
BT5〜6日目非常に低い着床直後でhCG濃度が足りない場合が多い
BT7〜8日目低〜中高感度検査薬でごく薄い反応が出ることもある
BT9〜10日目中〜高妊娠していれば陽性反応が出る可能性が高まる
BT11日目以降判定日に近く、正確性が高まる


また、検査薬にも種類があり、感度の違いや使用タイミングに注意が必要です。以下に主要な市販検査薬の比較をまとめました。


検査薬名感度(hCG量)判定可能な目安日特徴
ドゥーテスト25mIU/mL生理予定日当日から判定線が濃く出やすく視認性が高い
チェックワンファスト12.5mIU/mL生理予定日前から感度が非常に高くフライング向き
P-チェックS25mIU/mL生理予定日当日からドラッグストアで入手しやすい
クリアブルー25mIU/mL生理予定日当日から判定結果がデジタルで分かりやすい


フライング検査を行う際の注意点は以下のとおりです。


・朝一番の尿を使う(hCG濃度が最も高いため)
・検査結果を規定時間内で確認する(放置すると蒸発線が出ることがある)
・検査薬の使用説明書を厳守する
・陰性であっても希望を捨てずに正式な判定日を待つ


また、ホルモン補充周期の場合、注射や内服でhCGを投与しているケースがあり、この影響で擬陽性(実際は妊娠していないが陽性反応が出る)となることもあるため、フライング検査には特に注意が必要です。


フライング検査はあくまで「目安」であり、確定診断ではありません。精神的なプレッシャーや結果への一喜一憂がかえってストレスになることもあるため、ご自身の心身の状態に合わせて検査を行うことが大切です。心配な場合は、医師の判断を仰ぎ、計画的に次のステップに進んでいくことをおすすめします。


BT成功率を高める生活習慣と食事法!医師推奨アドバイス集

睡眠・冷え対策・ストレス管理!移植成功の鍵を握る生活習慣

妊娠を目指す過程において、生活習慣の質は体外受精やBT(胚盤胞移植)の成功率に大きな影響を与えます。特にホルモンバランスや子宮内膜の状態は、日常の過ごし方で大きく左右されるため、医学的根拠に基づいた生活管理は不可欠です。ここでは、睡眠の質、冷え対策、ストレスコントロールという三つの軸に沿って、BTを控える女性に必要な生活習慣を詳しく解説します。


まず、睡眠はホルモン分泌を整えるための基本です。夜10時から深夜2時の間に分泌される成長ホルモンは、子宮内膜の再生や卵胞の発育に寄与します。睡眠不足は自律神経の乱れを招き、排卵機能の低下や着床率の低下を招く恐れがあるため、7〜8時間の質の高い睡眠を確保することが望まれます。


次に重要なのが冷え対策です。体の冷えは血行不良を引き起こし、子宮や卵巣への血流が滞ることで内膜が厚くなりにくくなる要因となります。特に下腹部や足先を冷やさないよう、靴下の重ね履きや腹巻きの使用、暖かい飲み物を意識することが推奨されます。漢方医学の観点では「腎虚(じんきょ)」という冷え体質は不妊の原因の一つとされており、身体を内側から温める食材(生姜、黒ごま、山芋など)の摂取も有効です。


さらに、ストレス管理も妊娠率に直結します。ストレスが高まると、副腎皮質ホルモンのコルチゾールが分泌され、排卵や着床を妨げるとされています。不妊治療中は精神的な負荷が大きくなりやすいため、ストレス軽減策としてヨガ、アロマセラピー、森林浴などを日常に取り入れることが重要です。特に朝日を浴びることはセロトニンの分泌を促し、メンタルバランスの安定につながります。


以下の表に、BT成功率向上に役立つ生活習慣とその具体的な対策を整理しました。


生活習慣の項目推奨される対策例効果
睡眠夜10時〜2時を含む7時間以上の睡眠ホルモンバランスの安定、子宮内膜の再生促進
冷え対策腹巻き、湯たんぽ、足湯、生姜の摂取血流改善、子宮・卵巣機能の維持
ストレス管理呼吸法、瞑想、音楽療法、朝日を浴びる自律神経の安定、排卵・着床のサポート
運動軽いストレッチやウォーキング(30分/日)血行促進、代謝アップ、リラックス効果


生活習慣は短期で改善されるものではなく、BTに向けて数週間から1か月以上前から意識して取り組むことが理想です。特に、睡眠・冷え・ストレスという三大要因は、不妊治療クリニックに通院中の多くの患者にも共通する課題です。こうした土台を整えることが、体外受精の妊娠率向上にも直結するといえるでしょう。


着床しやすい食べ物と食事リズム!東洋医学・漢方の視点も交えて

食事はBTの成功率を左右する要素として極めて重要です。栄養バランスの整った食事は子宮内膜の厚みを保ち、ホルモンの分泌や血流を整える基盤となります。ここでは、現代栄養学と東洋医学の両面から、着床環境を整える食材と食事リズムについて詳しく解説します。


まず、体外受精の成否に大きく関わる栄養素として注目されているのが「葉酸」「ビタミンE」「鉄分」「亜鉛」「オメガ3脂肪酸」です。これらの栄養素は、受精卵の着床に必要な子宮内膜の血流や厚みに深く関与しており、着床率を高めるための基礎栄養として多くの研究で推奨されています。


以下の表は、BT前後に特に摂取したい栄養素と、それを多く含む代表的な食品をまとめたものです。


栄養素主な効能多く含む食品例
葉酸細胞分裂の促進、子宮内膜の成熟ほうれん草、ブロッコリー、枝豆
ビタミンE血流改善、黄体ホルモンの安定アーモンド、かぼちゃ、アボカド
鉄分酸素運搬能力の向上、疲労回復レバー、ひじき、赤身の肉
亜鉛ホルモン分泌の正常化、卵子の質向上牡蠣、かぼちゃの種、納豆
オメガ3脂肪酸血流促進、炎症抑制、ホルモン調整サバ、いわし、アマニ油


東洋医学の観点からは、食事を通じて「気・血・水(き・けつ・すい)」の巡りを整えることが着床に効果的とされています。例えば「気虚体質(エネルギー不足)」の人には、うなぎや山芋などの補気食材が勧められます。一方で「瘀血体質(血の滞り)」の場合は、黒豆や紅花茶など血行を促す食材が適しています。自身の体質に合った食材を選ぶことが、東洋医学的にも重要なアプローチです。


また、食事リズムも大切です。1日3食を規則正しく、朝食をしっかり摂ることで基礎代謝が上がり、ホルモン分泌のリズムも整いやすくなります。夕食は就寝3時間前までに摂ることで消化器官の負担を減らし、睡眠の質を高めることにもつながります。


日々の食事は習慣の積み重ねであり、意識的な選択がBTの成功を支える力となります。医師や管理栄養士、漢方医との連携を図りながら、自分の身体に合った食事法を確立していくことが、不妊治療の成功への近道です。


BT治療が向いている人・向いていない人の特徴

どの治療を選ぶべき?BT・ET・新鮮胚の向き不向き

BT(胚盤胞移植)、ET(初期胚移植)、新鮮胚移植のいずれを選ぶべきかは、不妊治療に取り組む方の年齢やホルモンバランス、治療歴、体質などによって大きく変わってきます。それぞれの移植方法には長所と短所があり、自分の状態に合った選択が妊娠率の向上につながります。


まずBT(胚盤胞移植)は、5〜6日間培養した胚を子宮に戻す方法であり、受精卵が良好な発育を見せた段階で実施されます。この方法は、胚の成長力や子宮への着床能力が確認できてから移植するため、妊娠率が高くなる傾向があります。一方で、胚盤胞まで到達する胚は全体の50%程度とされており、培養段階で中止となるリスクもあります。特に高齢の方や、採卵できる卵子数が少ない方には、全胚凍結後の胚盤胞移植(BT)が向かない可能性もあるため慎重な判断が必要です。


ET(初期胚移植)は、受精後2〜3日目の段階で移植する方法で、胚の育成途中で子宮に戻すため、子宮内での自然な成長が期待されます。この方法は胚盤胞まで培養するリスクを回避できる一方で、胚の選別精度がやや低いため、着床率や妊娠継続率に差が出ることもあります。若年層で複数回の採卵が可能な方、もしくはホルモン環境が自然に近い状態の方には選択肢として有効です。


一方、新鮮胚移植は採卵後に新鮮なまま移植する手法で、採卵周期と同じ周期内で実施されます。ホルモンの影響を受けやすいため、子宮内膜の状態が整っていないと着床しづらいデメリットがあります。凍結保存のコストを省きたい場合や、凍結の影響を避けたい方に選ばれる傾向がありますが、ホルモン値の急変や卵巣過剰刺激症候群(OHSS)のリスクがあるため、医師との慎重な相談が不可欠です。


治療法の選択においては、以下のような点に注目することが重要です。


・年齢が35歳未満の場合、新鮮胚移植やETが候補になりやすく、ホルモンバランスも比較的安定しているため、体への負担も少ない傾向があります。


・年齢が35歳以上または複数回の採卵を経験している場合、凍結胚の中から質の良い胚盤胞を選んでBTを行うことで、着床率の向上が期待されます。


・AMH(抗ミュラー管ホルモン)値が低い、卵胞数が少ない方は、貴重な胚を無理に胚盤胞まで育てるのではなく、早めに移植するETも一つの選択肢になります。


・子宮内膜の厚さが不足している、もしくはホルモンの反応が不安定な方は、ホルモン補充周期を整えてからの凍結BTが適している場合があります。


・過去に移植をしても着床しなかった場合は、着床不全の検査や、子宮内膜受容能(ERA)検査を併用したBTが有効なケースがあります。


これらの基準に加え、個人の不妊治療歴や精神的な負担、希望する治療回数、ライフスタイルとの兼ね合いも踏まえて総合的に判断することが求められます。すべてのケースでBTが最適とは限らないため、自身の身体状態を正確に把握し、医師と連携したプラン設計が成功の鍵となります。


年齢別・回数別にみるBT移植成功の戦略とは

BT(胚盤胞移植)の成功率は、年齢や治療回数に応じて大きく変動します。胚の質、子宮内膜の受容能、ホルモン環境などが複合的に影響するため、個々の背景に応じた戦略が必要です。とくに30代後半〜40代では自然妊娠率が低下する一方で、BTによる着床成功のチャンスを最大限に活かす必要があります。


年齢別にみたBT成功率の一般的な傾向は以下の通りです。


・30〜34歳は、BTによる妊娠率は約50%前後とされ、胚の質が良好なことが多く、着床率も高めに維持されやすいです。治療回数も少なく済む傾向があり、1〜2回目での成功例も多く見られます。


・35〜37歳は、徐々に卵子の質が低下し始めますが、良質な胚盤胞を複数得られることもあり、BTは有効な選択肢です。特に胚の染色体異常を防ぐため、PGT-Aなどの着床前診断と併用する例もあります。


・38〜40歳は、着床率が大きく下がり始める年代であり、BTの成否は胚の質だけでなく、内膜の状態やホルモン補充のタイミングにも大きく左右されます。複数回のBTが必要になることが多く、医師との細やかな調整が不可欠です。


・41歳以上は、成功率はさらに低下しますが、凍結胚の中でも質の高い胚盤胞を選ぶ、ERA検査を活用して着床の最適日を特定するなど、成功率を高める戦略が求められます。高齢の患者では、卵子提供や着床補助技術の検討も視野に入るケースがあります。


回数別に見ると、初回BTでの成功率は比較的高く、2回目以降になるとやや低下する傾向があります。ただしこれは単なる回数によるものではなく、胚の質や子宮内膜の受容性、ホルモン補充の最適化状況によって左右されます。


以下のような戦略が、治療成功のためには有効と考えられます。


・ERA検査を実施して着床の最適時期を把握する


・子宮内フローラ検査や慢性子宮内膜炎の検査を行い、炎症がないか事前確認する


・凍結胚の段階で染色体異常が少ないものを優先して選ぶ(PGT-Aなど)


・2回目以降のBTで成功しない場合には、免疫療法や内膜スクラッチ法の併用を検討する


・着床補助のためのホルモン補充スケジュールを精密に設定する


これらの工夫を行うことで、BTの成功率は大きく向上させることが可能です。医療機関によっては個別データに基づいた治療方針を提案してくれるため、自身の治療歴や年齢に合った戦略を相談することが、治療の成否を左右する重要な要素となります。年齢が上がるほど、妊娠・出産に向けた計画は戦略的なものが求められるのです。


まとめ

BTは体外受精や凍結胚移植において非常に重要な段階であり、着床の可能性を左右する要素が数多く関わっています。胚移植、ホルモン調整、子宮内膜の厚み、そして着床時期まで、ひとつひとつのプロセスを正しく理解することが、治療成功への近道です。


特に30代後半から40代の患者にとっては、ホルモンの状態や卵子の質、受精卵の発育状態など、年齢によって選ぶべき移植の方法が異なります。BTとET、新鮮胚と凍結胚では、それぞれの適応と成功率に違いがあるため、自己判断ではなく医師と慎重に相談することが大切です。


また、BTに向いている人とそうでない人の特徴を理解することで、無駄な治療を避け、限られた時間や費用をより有効に活用できます。失敗や流産のリスクを抑えるためにも、自身の周期やホルモンバランス、過去の治療履歴などをしっかりと把握し、それに合った戦略を立てることが求められます。


今回の記事では、専門用語をわかりやすく解説しながら、移植段階の注意点や治療の選択基準を紹介しました。これからBTを受けようと考えている方にとって、情報不足による損失を避け、納得のいく選択ができるよう、少しでも参考になれば幸いです。信頼できる医療機関での診療や検査を通じて、ご自身にとって最適な方法を選びましょう。


不妊治療専門の鍼灸サポート – 森ノ宮アクア鍼灸治療院

森ノ宮アクア鍼灸治療院は、鍼灸を通じた不妊治療を提供し、妊娠を望む方々を支援しています。独自のアプローチで体質改善とホルモンバランスの調整を目指し、特に自然妊娠をサポートする施術を行っています。患者一人ひとりの体調に応じた丁寧なカウンセリングと施術計画を通じ、リラックスした環境で治療を受けられるのが特徴です。

森ノ宮アクア鍼灸治療院
森ノ宮アクア鍼灸治療院
住所〒540-0003大阪府大阪市中央区森ノ宮中央1丁目16番地23 森ノ宮エルエムヒルズ6階
電話06-6809-4388

24時間Web予約

よくある質問

Q.BTとETの違いで妊娠率はどのくらい変わりますか?
A.BTは胚盤胞まで育てた受精卵を移植する方法であり、ETよりも着床の準備が整っている状態のため、妊娠率が高くなる傾向にあります。細胞の分裂段階が進んでいることから、子宮内膜とのタイミングが合いやすく、着床の可能性を高められるとされています。年齢や卵巣の状態によっても成功率は異なるため、個々の状況に応じた選択が重要です。


Q.BT移植にはどのような費用がかかりますか?
A.BTは通常の体外受精に加えて、胚盤胞までの培養や凍結保存、融解などの工程が追加されるため、費用項目が増える傾向にあります。また、自然周期とホルモン補充周期のいずれを選ぶかによっても費用構成は変動します。治療内容によって必要な費用は異なるため、事前にクリニックでの詳細確認が必要です。


Q.BT何日目で着床するのが一般的ですか?
A.BT後の着床は、移植から2日から4日程度で起こるケースが多いとされています。BT7日目頃には着床している可能性があり、体温の変化や下腹部の違和感などが兆候として現れることもあります。ただし症状には個人差が大きく、無症状でも着床している場合があります。フライング検査をする際はBT7日目以降が目安になりますが、正確な判定は診療機関での検査が必要です。


Q.年齢によってBT移植の成功率に違いはありますか?
A.年齢はBT移植の結果に大きく影響します。特に卵子の質や子宮内膜の状態は年齢とともに変化するため、30代と40代では着床の確率に差が生じやすいです。また、BTが2回目以降になると、前回の結果を踏まえてホルモン補充の調整や培養段階の見直しなど、より戦略的な対応が可能となります。成功率を高めるためには、医師と相談しながら自分に最適な治療計画を立てることが大切です。