不育症に関するご相談について
不育症とは・・・
妊娠後、2回以上流産・死産を繰り返すことを言います。
妊娠反応は陽性で、胎嚢を確認することが出来ない場合を化学流産と呼びます。
現在のところ化学流産は流産には含まれていません。
(欧州生殖医学会は化学流産を流産と位置づけ)
「不育症リスク因子」(厚労省調査)
- 子宮形態異常7.8%
- 甲状腺の異常(機能亢進症もしくは機能低下症)6.8%
- 両親のどちらかの染色体異常4.6%
- 抗リン脂質抗体陽性10.2%
- 第XII因子欠乏症7.2
- プロテインS欠乏症7.4%
n=527名(年齢34.3±4.8歳、既往流産回数2.8±1.4回、重複有43件)
Fuiku-labo(厚生労働省扶育研究班)
不育症リスク因子として解っているのが数%に過ぎません。
その他、偶発的流産・原因不明が65%もあります。
このように医学では現実的に解明されていないと言うことが現実です。
①~⑥のように、リスク因子が解れば西洋医学の得意とする器質的治療が行えます。
偶発的・原因不明については、治療方針が立てられず悩まれる方も多くおられます。
原因不明の症状は東洋医学の鍼灸治療が得意とし、数々の不育症に悩まれている方が出産されています。
不育症であっても普通に妊娠するには十分可能です。
大変な不妊治療の末に妊娠したのに、流産になってしまうのはすごく辛いことです。
一般に妊娠した人の約15%(6~7人に1人)が流産するといわれ、その原因の約80%は受精卵の染色体異常だと考えられています。
なので、両親の問題ではなく、胎児側に原因があることが大半です。
その中で「不育症」といわれるものがあります。
不育症とは妊娠はするものの流産や死産を繰り返して、生児を得ることができない病態です。
2回続けての流産を「反復流産」といい、全妊娠の2~5%を占める。
3回以上続けての流産は、妊娠を継続しにくいなんらかの原因が母か父に、または母体と胎児の間になにかあるのではないかということで、「習慣流産」と診断されます。
心拍確認後の流産は、胎児以外になんらかの原因がある可能性もあるといわれています。
主な原因としては
- 子宮形態異常
- 内分泌異常
- 染色体異常
- 血液凝固因子異常
- 原因不明
原因不明は病院での検査をしても特に異常がなかったもので、割合は65.3%にもなります。
原因が明らかなものは病院で治療をすることができますが、原因不明の場合、病院での治療はありません。
そこで鍼灸治療をするのはいかがでしょうか?
西洋医学である病院での検査で異常がなかったとしても、東洋医学の観点から見ると、妊娠を継続させ出産まで至る為には気、血、水のバランスが取れていて、内臓の機能がバランスよく働いてくれていることが重要です。
例えば、冷えはありませんか?
肩こりや頭痛、腰痛など体の痛みはないですか?
イライラしたり不安感が強く、落ち込みやすくなっていませんか?
これら全ては、上記で説明したバランスがとれていない証拠です。
鍼灸ではこのバランスを整え、人間の身体、本来の機能を取り戻すとこを目的とします。
そうすることで妊娠を継続させることにも繋がるのです。
その中で特に重要なのが「肝」「腎」「脾」です。
「肝」
子宮と関係し、子宮に異常があると肝の経絡に異常が出てきます。
気、血、水を必要に応じて全身に調節し、配布する働きがあります。
「腎」
卵巣と関係し、早期閉経などは腎の力が弱くなってくるとでてきます。
腎の働きが悪くなると卵巣自体にエネルギーを送ることができず、卵巣で卵子の発育にも影響がでてきます。
成長、発育、生殖にかかわり、生命活動の原動力を提供します。
「脾」
糖の代謝異常は不育症の原因の1つになっており、脾の働きが悪くなると糖の代謝が悪くなります。
食べ物から気、血、水の原料となるものを作りだし、生命の基礎的機能を担っています。
これらの働きをよくするために
ツボに鍼を刺し、刺激を送ることで改善していきます。
原因がある、ないに関係なく、鍼灸治療で体質を良くしていくことは大切なことです。
不育症は不妊症と違い、妊娠はできるが流産や死産を繰り返し、元気な赤ちゃんを産む事が出来ない病気です。
定義として、妊娠は成立するが流産や死産を2回以上繰り返す状態のことを言います。
※生化学妊娠(妊娠反応が陽性となるが胎嚢確認される前に出血とともに消失する)は不育症に含まれていません。
また、臨床的流産・死産歴が2回未満でも、次回妊娠における流死産のリスクが高く、動機付けとなる状態を「不育症」の概念に含めるとされているようです。
日本では不育症患者が推定140万人いると考えられており、少子高齢化が進む日本において大きな問題だが、半数以上で原因が分からず治療法が難しいとされています。
その中でもリスク要因として考えられているのが、以下の通りである。
- 母体の高年齢
- 過去の流死産回数
- 抗リン脂質体
- 子宮形態異常
- 子宮筋腫や子宮内膜ポリープ
- 慢性子宮内膜炎
- 甲状腺機能不全
- 夫婦染色体構造異常
- 肥満(BMI30超)
- ライフスタイル(ストレス、喫煙、過度のアルコール摂取など)
いずれも医療機関でリスク要因を検査し、治療が必要です。
しかし、「不育症管理に関する提言2021」では、
●妊娠継続への有効性が報告されているものの、エビデンスが十分でない対応や、支援の中には現在の日本における一般臨床では十分に普及していないものも存在する。
●具体的には不育症女性やそのパートナーの生活習慣の見直し(喫煙、過度のアルコールやカフェインの摂取、肥満、運動不足などの回避)や、メンタルケアなどがあげられる。
●不育症治療を行っても再度流死産となった場合に、これらの対応・支援が行われていなければ優先して実施することが推奨される。
との記載がある。
治療法について
上記のことから、不育症検査・治療と並行し、
生活習慣の改善やメンタルケアが大きな治療法の一つである事が分かります。
不育症は、子宮の機能問題以外にも、冷え症や疲れ、ストレスからの自律神経の乱れやホルモンバランスの異常などにより、自然治癒力の低下が原因の一つと言われています。
これらの問題を放置しておくと自然治癒力が低下していき、病院で検査しても異常はないがなんとなく体がだるい、やる気が出ない、イライラする、頭が重いなどが起こります。
これを不定愁訴と言います。こういった不定愁訴を改善していく為に鍼灸治療を行っていくのです。
具体的には五臓六腑(五臓:肝心脾肺腎、六腑:胆、胃、大腸、小腸、膀胱、三焦)の免疫力を上げる治療を行っていきます。
また、自律神経やホルモンの状態を整える治療なども行っており、メンタルケアとも大きく関わっています。